最近「スター・ウォーズ ファクトファイル」という名で、物語の設定について語っている情報誌がありますが、これと対局に位置するのが上記展示会の姿勢でした。
流れるような流線型のフォルムは、戦前のバウハウスに端を発するインダストリアルデザインの流れを受けた工業製品に多用された。鉛筆けずりから蒸気機関車、はたまた豪華客船まで、当時の未来指向デザインのカギは流線型にあった。 しかし、そういう時代背景の中で製作された、1950〜1960年代のSF作品で描かれる宇宙船の主流は、流線型を基調としているものは存在しない。 1950〜1960年代のSF映画に登場する宇宙船の、そのほとんどが円盤もしくはロケット(銀色のくさび形ロケットに羽を付けたようなものを含む)の形状をしていた。 たとえば『地球最後の日』(1951年、ジョージ・パル監督)の箱船ロケットは、ジェット・コースターのように、レールを使って宇宙に飛び出すロケットが描かれた。いわゆるロケットに尾翼と主翼をくっ付けたものである。また、『火星人大侵略』(1953年、ウィリアム・キャメロン・メンジス監督)で描かれた発着場に待機状態になっているロケットも、同様なフォルムを持つものであった。つまり、この時期の宇宙船のデザインは決まって<サンダーバード1号>のような形態であったのである。 ときを下って70年代になると、『猿の惑星』(1968年、フランクリン・シャフナー監督)で着陸用として使われたポッドのような、くさび形を基調とした流線型のものも確認できるようになってくるが、意匠的に洗練されたものではないし、それ自体が宇宙船と言うわけでもなかった。また、『ダークスター』(1974年、ジョン・カーペンター監督)のスカウト・シップは、ロケット型から発展した長細いフォルムの流線型であったが、どちらかというと旅客機の主翼と尾翼をとったような形態だ。旅客機の延長という意味では、『2001年宇宙の旅』(1968年、スタンリー・キューブリック監督)の冒頭にてヘイウッド・フロイド博士を宇宙ステーションに誘うシャトルも同様である。 ロイヤル・スターシップのデザインは、一見アメ・コミ等にサラリと出てきそうではあるが、SF映画史上を振り返ると、これに似た形状の宇宙船は意外なことに存在しないのである。では、実在する飛行機や宇宙シャトルではどうだろうか?